あとがき 主人公レオナルドの想い

夢の世界にさそわれて、おだやかなひと時を送るレオナルド。

人々に恵まれ、最高の地位である教皇の座も手に入れた。

しかし彼は引き換えと失った祖父による寂しさによって心が揺れ動いた。

国立魔法図書館にて見つけてしまった伝説の古書。

それに記された夢の扉の伝説は、レオナルドの心を試したのだろう。

祖父を想い、清き寛大な教皇としてつないでゆくこと。

虚しさのあまり、盲目さながらに禁術に触れ、身を捨ててまで滅びの道を歩むこと。

そう、レオナルドは自分自身の悪と戦っていたのだ。

最高位である教皇の座に相応しく匹敵する最強の悪魔と。


レオナルドは一人で戦ってしまった。

過去の自分を振り返り、不幸をめぐらせ、憎しみが足をつかんで離さなかった。

自分が強くあるべきこと。そればかり思っていたせいで、父と母の愛を忘れていた。

病弱な彼を支えてきた二人は、自らの人生をかけて、深い愛情を与え続けた。

野望の末に手に入れた希望の剣、英雄ヴトルプ。

祖父を継承し、彼を受け入れた理の杖、女神コスモス。

二つの神器は彼の欲によって掴み得られたもの。

しかしそれらは彼の手に渡る以前に授けられていた父と母の愛の象徴でもあった。


愛を忘れ、家族を忘れ、虚無を求めてしまったレオナルド。

親しみ深いリアリム教の同志たちを死なせてもなお、命の尊重は目に見えておらず、

人間とは遠くかけ離れた化け物となっていた。

そんな彼を救おうと、神々の子らは手を差し伸べたが、それはむなしく振り払われ、

心をむさぼり食われると植物の柱となってしまった。

神の眼を通し、開かれる夢の扉。

全てを知った彼はもはや全てに意味をなさないことに気付き、全てを終わらせる。

夢の世界の旅路はおわり、彼は去って行った。

本当に彼は、神のように全てを知ったのだろうか?

知ってはいないだろう。彼を救おうとしていた人々の想いを。

あたたかに渡された真心を置き去りにして、夢から覚め、現実を知る。


自分の弱さや何もかも、変えられぬままに幕を閉じた。

しかしそれは無駄なことではないはずだ。

なぜなら彼は、彼自身をずっと見ていたからだ。まさしく見下ろす神の眼のように。

だから、今度はきっと幸せな道を見つけ出し、笑顔のある日々が送れることに間違いないだろう。

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